税務署の窓口は午後3時までに――税務手続のオンライン化について思うこと
最近、税務署を取り巻く環境が大きく変わってきています。
東京国税局管内の税務署では、令和8年10月1日から
申告・申請書等の受理、用紙の交付、納税、納税証明書の交付などを行う
総合窓口の受付時間が、原則として午前9時から午後3時までに変更されます。
このお知らせを見たとき、私は正直なところ少し驚きました!
市役所などの公共施設の窓口は、午後5時まで開いているものだという感覚があっため
「税務署の窓口が午後3時まで」
というのは、かなり早いように感じたからです。
ただし、国税庁としては、税務署に行かなくても手続ができるように
e-Taxやキャッシュレス納付などの利用を進めています。
確かに、オンラインであれば税務署の開庁時間を気にせず、24時間手続ができます。
税金の納付についても、わざわざ税務署や金融機関へ出向く必要がないため
パソコンやスマートフォンの操作に慣れている方にとっては、以前より便利になっていると思います。
すべての人にとって便利とは限らない
一方で、オンライン手続がすべての人にとって使いやすいかというと必ずしもそうではありません。
国税庁では、「スマートフォンで簡単に申告できます」と案内しています。
しかし、普段スマートフォンをメールや動画の視聴、インターネットショッピングなどにしか
使っていない方にとって、確定申告は決して簡単な手続ではないと思います。
税金についての知識に加えて、スマートフォンやパソコンの操作も必要になるため
実際には「インターネット」と「税務」の両方にある程度慣れていなければ、難しく感じる方も多いのではないでしょうか。
私のお客様に、毎年年金の確定申告をご依頼してくださる方がいらっしゃいます。
以前、ご自身で税務署へ申告に行かれた際には、長い時間並び、慣れないパソコンを使って、職員の方に言われるまま一つずつ入力したそうです。
一日がかりになり、疲れ切って帰宅された経験から、「多少の税理士報酬を払っても、自分では確定申告をしたくない」とおっしゃっています。
オンライン化によって便利になる方がいる一方で、高齢の方やパソコン操作が苦手な方にとっては、かえって負担が大きくなることもあります。
郵送による提出先にも注意が必要です
もう一つ、注意しておきたい変更があります。
東京国税局では、令和8年7月から、申告書や申請書などを書面で郵送する場合は
原則として所轄税務署ではなく
「所轄税務署を担当する業務センター」へ送付することになります。
なお、e-Taxを利用する場合は、これまでどおり所轄税務署へデータを送信します。
また、書面を税務署の窓口や時間外収受箱へ直接提出する場合は、従来通り所轄税務署への
提出となります。
なお、業務センターへ書類を直接持ち込むことはできません。
今まで毎年、税務署宛てに申告書を郵送していた方は、特に注意が必要です。
令和8年分の確定申告書を提出する時期には、従来どおり税務署へ郵送してしまう方も多く、多少の混乱が起こるのではないかと心配しています。
郵送で提出する場合は、事前に国税庁のホームページなどで、ご自身の所轄税務署を担当する業務センターと送付先を確認するようにしましょう。
税務手続は大きく変わりました
私が税理士業界に入った頃は、申告書を手書きで作成しているところもまだあり、税務署へ直接持って行ったり、郵送したりすることが一般的でした。
さらに以前には、計算にそろばんを使っていた方もいました。
その後、会計や税務の処理はほとんどがパソコンに変わり、申告書もe-Taxを利用して瞬時に提出できるようになりました。
振り返ってみると、パソコンやe-Taxへの移行は、ある程度時間をかけて進んでいたように思います。
しかし、新型コロナウイルスの感染拡大以降、社会全体でオンライン化が急速に進みました。
税務手続についても、「できればオンラインで」という段階から
「オンラインで行うことが前提」という方向に変わりつつあります。
特に会社や個人事業主の方の場合には
今後、「インターネットが使えない」「e-Taxが使えない」では
事業を円滑に進めることが難しくなるでしょう。
経営者自身がすべての操作を行う必要はありませんが
自分で対応することが難しい場合には、従業員や専門家など、分かる人の力を借りることも必要になってくると思います。
これから必要になるのは変化への対応力
税務署の窓口時間の短縮や、書類の郵送先の変更は、単なる事務手続の変更ではありません。
税務行政が「税務署へ行って手続をする形」から、「オンラインを中心とした形」へ大きく変化していることの表れだと思います。
オンライン手続に慣れている方にとっては、24時間利用でき、移動や待ち時間もないため、大変便利な仕組みです。
その一方で、操作に不慣れな方にとっては、難しさや不安を感じる場面も増えていくでしょう。
これからは、制度そのものを理解し、社会や手続の変化にどのように対応していくかが、ますます大切になっていくと感じています。
もちろん、私自身もお客様のお役に立てられるように 変化に対応していかなければならないと思っています。
